沼倉裕氏は指摘している

「あなたでなければできない、という種類の仕事が必要になってきている」

というのは…

images (6)少子高齢化が進み、外国人労働者の受入れやアウトソーシングなどが増えれば、グローバルな標準にあわせた賃金設定へと変化するため、誰にでもできるルーチンワークが仕事として成り立たなくなる。

こうなると「その人に頼まなければ、その仕事が成立しない」という専門分野や特殊な強みをもった人が有利になってくるのである。

逆にそうでない人、つまり会社の言われるがままに仕事をしている人は、もっと安い賃金で雇える契約社員や派遣社員、アウトソーシングサービスなどによって、これまでに一生懸命してきた仕事を奪われる可能性が出てくる。

実際、私には、ひとつの会社にしがみついて生きていくという発想はもはや成り立たなくなっているのが実感として理解できる。

 

私自身が自分の周辺で、そうした様々な影響を見てきたからである。たとえば…

私はメーカーに勤めている。電子機器媒体の製造管理の仕事をしている同期入社の友人がいた。

ある日、会社が経営戦略視点から、その電子機器製造に関するビジネスから手を引き、人材や施設など経営資源の一部を、同じ業界の大手企業に売却することになった。私の友人は、会社によるこの決定により、その競合他社へと転社することを余儀なくされた。

移転先の起業から提示された条件、たとえば勤務先や給与などがあまりにも意にそぐわなかったため、彼は結果として今まで約20年間プロとして活躍してきたその分野の仕事から手を引くことにした。今ではまったく別の業界の外資系企業に勤めている。

 

私の周辺では、こうした例は別に珍しくはない。

工場が閉鎖されて、それまで10年間、製造ライン管理のプロとして働いてきたベテランがある日突然、総務部や経理などに回されて、自分の子供みたいな新入社員に仕事を教えてもらったり、お局様の部下になったりする例はよくあることなのだ。

こうした立場になってしまうと「給料は高いが、やっていることは新入社員と変わらない」という評価を受けて、降格やリストラの対象になってしまうだろう。かといって、会社の都合でいきなり、今まで経験のない部署に異動させられても、そこで何年も苦労してきた人たちの中に交じって、急に同じように仕事ができるようになるわけでもない。
沼倉氏は

「もはや今勤めているひとつの会社に頼って生きるという発想自体が崩壊しており、個人が一人でも稼げるようにならないと、自分の生活すらもままならない」

と言っているが、まさにそのとおりの時代がすでに訪れている。
未来への経済的自衛のためにできることとして、沼倉裕氏は以下の5つをあげ、それぞれを評価している。

  • 宝くじにあたる
  • 投資で儲ける
  • 詐欺師か泥棒になる
  • サラリーマンとして出世して役員や社長になる
  • ビジネスを起こす

沼倉氏によれば、この中で、もっともお金を作ることができる可能性があるのが「自分でビジネスを起こす」ということだと言う。

インターネットを使えば、企業に頼らず個人で資産を形成することができる、として、小資本で副業からビジネスをはじめることを勧めている。

私個人の体験から言えば、それまでサラリーマンとして働いてきた人すべてが、必ずしも個人でビジネスをやるのに向いていないかもしれない、という気がしている。

そもそもひとくちに「サラリーマン」といっても、会社の中には様々な部署があり、また同じ部署の中でも役職も違えば、仕事内容もレベルも異なる。

当然、スキルや経験も違うし、強みも違うわけなので、中には自分自身で表に出てお客を集めたり、人前で話したりするのが苦手という人もいるだろうし、逆に自分で戦略を立てたり何かを設計したりした経験がないという人もいる。

中には、自分でコツコツと準備をしてビジネスを立ち上げていくより、これまでに貯めた資金で投資をはじめた方が効率よく、ラクに儲かるという人もいるだろうと思う。
沼倉氏自身が「人生のズレを修正するために今すべきこと」の中の他の箇所で言っているように

「インターネットを使ったビジネスは、いくら稼ぎやすいビジネスモデルと言っても、誰でもカンタンに寝ていても儲かる、といったものではない」

ビジネスというのは、そもそも成功するかという保証はない、というリスクを冒して挑戦するものだ。

その意味では、たとえ良好な条件でないとしても、給料として定期的にお金を手に入れられる今の職場を最大限に有効活用しながら、空いた時間や週末で様々なビジネスにチャレンジしていく、というのが現実的な対処であると、私個人は思う。

考えようによっては、会社という所ほど素晴らしい場所はないかもしれない。なぜなら…

給料をもらいながら、実際のビジネスの場所で、その業務スキルを学ぶことができるからだ。

たとえば個人でWebサイトを管理する仕事をはじめようとしたら、専門学校に通うなど、かなりの自己投資が必要になるだろう。でも会社の中でその仕事を担当すれば、会社がスキルアップのための教育費用は支払ってくれるのだ。タダでスキルアップできる上、現実に利用されている企業のWebサイトを構築したり管理した、という実績まで手に入れることができるのである。

唯一の難点は、いくら努力をしてもそれに見合った報酬が突然、増えたりすることはないということだ。安定しているが、実績に見合った収入は期待できない。

だからもし、自分自身のスキルが会社の中だけでなく、独立しても通用するだけのレベルに達して、自分で顧客を見つけられるようになったら、そのときは会社を辞めて独立すればいいだろう。

もちろん「会社と独立、どちらもテキトーでいいや」という姿勢では、どちらもダメになってしまう。

そうではなく、どちらも頭を切り替えて、本気でやるのである。できれば副業は、会社で今している仕事や過去に経験した業務に関連したものがいい。ゼロから何かを学ぶのは、とてつもなく時間がかかるし、またはじめてみるといろんな障害に出会ったり、失敗に出くわしたりもする。

会社で仕事として経験していることは、すでにそうした時期を経ているので、これから何が必要になり、どんな問題が発生しそうかが事前に予測できるので、余裕を持って、そのための準備ができる。だからお客やパートナーに信頼され、そのサイドビジネスは成功しやすいのである。

サラリーマンの人は、今までしたことがない新しい分野に手を出す前に、自分が今までに身につけたスキルやしてきた経験、そして「今、何ができるか」を考えてみた方がいい。